ナレーション収録用の原稿を書く際には、通常の文章を書く場合とは異なるいくつかの注意点があります。また、ナレーションの用途によっても注意するべきポイントが異なりますので、よりよいナレーションを収録するために以下のことに気をつけて作成いただければと思います。

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1. 漢字を簡単な言い方に変える

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文字で見て違和感なく何の問題もない文章が、ナレーションでもよいとは限りません。特に漢字に注意する必要があります。漢字は、文章を読む際には意味を的確にすばやくとらえるために非常に有効なものですが、聞く場合にはそうとは限りません。

まず、漢字は耳で聞くと難解なものが多く、同じ読みで複数の意味を持つものが結構あります。特に熟語などは、他の平易な言い方に変えることが出来るものがほとんどですので、出来るだけ、平易な表現に変えるよう意識しましょう。

書いている途中に何度も表現について検討しているとなかなか筆が進まないという場合には、普通に文章を書き終えた後、個別の漢字部分を見直して、平易な表現に変えられないか見直してみるとよいでしょう。
例えば上記の文章でもナレーション原稿にする場合には、手直しするべき部分があります。

  • 注意する →  気をつける
  • 読む際  →  読む時
  • 的確に  →  正しく
  • 難解な  →  難しく聞こえる
  • 複数   →  いくつか
  • 平易な  →  分かりやすい

などなどです。まずは漢字部分に焦点をあてて平易な表現にするだけでもナレーション原稿としては大分良くなります。

同じ音で複数の意味を持つものも避けるようにします。文章内の漢字で見るとぱっと意味が頭に入りますが、聞く場合には同音異義語との区別を無意識的に頭の中で文脈に応じて判別することになり、聞く人に余計な負担となります。

以上のような点について気をつけて原稿を作成してみてください。

2. 原稿を声に出して他の人などに読んでもらう

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文章では問題なさそうなのに、ナレーションとして実際に聞いてみると何か変だったり、違和感があるという場合があります。実際にナレーション収録の仕事を請けて、納品した後に、原稿どおりに読んでいるのに、お客様より「原稿のこの部分を修正したい」という依頼がたまにあります。

これは理屈で考えるより、自分が作成した原稿を声に出して他の人などに読んでもらい、違和感がないか確認するのが早道です。何かおかしいなという理由は最初はすぐに分からないかもしれませんが、慣れてくればここの言い回しを直せばいいかなといったことがピンとくるようになると思います。

例えば、以下のような文章。

「製品自体が安くても、長く使えない、修理費用がかさむ、安定した品質でコピー出来ないことによるさまざまなトラブル発生などは、トータルで考えた場合、逆にコスト高となります。」

まず、文章自体が長いのと言い回しがちょっとナレーションに向いていない部分があります。言い回しは、内容やターゲットでふさわしいものを選択する必要がありますが、以下のような修正も一例です。

「製品の価格は安いけれども、すぐに壊れてしまったり、きちんとコピーが出来ずにトラブルが頻発・・・これでは結局、高い買い物になってしまいます。」

3. 1つの文をあまり長くせずに出来るだけ短めに

1の「耳で聞いて分かりやすい」ということと共通するところがありますが、1つの文をあまり長くせずに出来るだけ短めにします。ひとつの文にはひとつの伝えたい主旨だけ入れるようにし、いろいろな内容を盛りこまないようにすることでより伝わりやすいナレーションとなるはずです。文は短く、ひとつの文に伝えたいことはひとつだけ盛り込むのがポイントです。

また、「これ」、「あれ」、「それ」などの指示語を多用するのもスムーズな内容理解を妨げる一因となりますので、なるべく避けるのが無難です。

動画に入れるナレーションの場合の注意点

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ナレーションを入れる部分の動画の尺(長さ)を考慮しながら原稿を作成するのが大前提となります。後から動画の尺の調整が可能なコンテンツであればそれほど問題ありませんが、尺の調整が困難な映像の場合はこのあたりを考慮して原稿を作成しないといけません。また、実際に映像にあわせて仮ナレーションよ呼ばれる音声を入れてみるのがおすすめです。これはナレーターが読むときに読みスピードの参考にしたり、イントネーションの確認、漢字の読み方の確認のためのものなので、うまく読む必要は全くありません。

また、ナレーションで動画内容を全て説明する必要はないので、あくまでも動画内容を補完するものとして考えましょう。そのため、ナレーション原稿だけ読んだ場合に意味が通らなかったりよく理解できない内容でも問題ありません。逆にナレーションを読んだだけで、完全に意味が分かる原稿は動画に入れるナレーション原稿としては情報を盛り込みすぎで、動画用ナレーション原稿としてもあまりよいものではないはずです。

映像からでは伝わってこない客観的視点からの情報や逆に主観的感覚の提示など動画で伝わる直接的な情報の説明ではなく、違う視点からの情報提供を心掛けるとよいナレーションになると思います。「動画みれば分かるよ」というナレーションだけではせっかくのナレーションがもったいないと思います。

パワーポイント等へ入れるナレーションの場合の注意点

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パワーポイントへナレーションを入れて、展示会などでディスプレイに表示させるケースなどもあるかと思います。紹介する製品やサービスによっては、理知的なイメージを出そうとしてちょっと難しい用語や語句を使ったりしたくもなりますが、ある程度はよいとしても、基本はやはり「簡潔に分かりやすく」です。

聞いて理解し、興味をもってもらえなければプレゼンテーションの意味はありません。短い文と分かりやすい表現で相手に伝えることを第一に考え、イメージなどはその前提の上で考えていきましょう。

また、このようなナレーションは一般的に長尺になると思われますので、出来るだけ変化をつけて聞き手をあきさせないような工夫が必要です。

内容は変化していても文章が単調だとそれだけで聞く気がなくなってきます。ときどき、インパクトのある語句を混ぜたり、文末の終わり方に変化をつけるなどなるべく単調にならないように工夫をしてみてください。

宣伝カーや店頭PRなどのナレーションの場合の注意点

うるさい環境の中で本来、聞く気のない方へ向けたナレーションのため、長いものや難しい内容のものは全く聞いてもらえません。

印象的な言葉を選択したり、「あれ?」と思わせるような言い回しを工夫したりして、出来るだけ簡潔に短い時間で表現できるような原稿を作成してみてください。

ナレーション原稿文字数のカウント方法について

最後に、ナレーション原稿の文字数をカウントする方法ですが、「文字数カウント」で検索するとweb上でテキストを張り付けるだけで文字数がカウントできるサイトがたくさんありますのでそれらを活用するか、OfficeのWordで貼り付けても左上の「ファイル」ボタンから文字数をカウントすることができます。読みスピードや無音部分の量にもよりますが、230文字程度が1分間のナレーションの目安となります。